詳細は上の記事を見ていただくとして、結論から言えば、泊原発が稼働していれば今回のブラックアウトは起きなかったと、単純にはいかないようだ。
今回のブラックアウトの原因は、極端な電力不足による急激な周波数低下には違いないものの、苫東厚真発電所に依り過ぎていたことと、一部地域に発電所が集中していたことが原因であり、仮に泊原発が動いていてもそれを救えなかった可能性が高いという。
ただ、電力供給を止めて需給バランスを図る負荷調整によって一時的に危機を脱したかに見られたが、その後に再度バランスが崩れてブラックアウトに至った。
仮に原発が動いていても、性質上救えなかった可能性が高い。
そうなれば稼働中の外部電源の喪失となり、非常に危険な状態となる。
非常用のディーゼルエンジンが動かなかった場合には、わずかな時間でメルトダウンに至るという。
今回泊原発は冷温停止状態状態であり、非常用のディーゼルエンジンも稼働した。
しかし、震源が泊原発に近かった場合にはどうなっていたか、しかも稼働中であれば・・・。
●近視眼的な電力政策
原発が儲かるとなれば、安全だと騙してまでバカバカと日本中に建設する。
原子炉は40年しか使わないとして、建てては壊してでずっと甘い汁を吸おうとしていた。
40年と区切ったのは、原子炉は非常に高い中性子に晒されて脆化するから、というのが理由だ。
が、東日本大震災を受けてメッキが剥がれた。
新しい原発を建てることができなくなり、40年を超えて原子炉を使わざるを得なくなった。
すると今度は、原子炉の中性子による脆化には科学的根拠が無いと言い始めた。
本当に適当なことばかりを言っている。
東日本大震災以降、電力政策は自然エネルギーの使用に急激に舵を切った。
再生可能エネルギーを高値で買い取ることになり、日本中に太陽光パネルが設置されることとなった。
もちろんきちんとやっている業者さんもあると思うが、中には杜撰な施工によるものもあり、台風等で吹き飛ばされて近くの住民を危険に晒している。
原発の危険と比べれば大したことはないという意見をツイッター等で見かけたが、私はそうは思わない。
確かに一度事故を起こせば長期間近づけなく原発の方が危険ではあるものの、いつ吹っ飛んで来るか分からない太陽光パネルだって危険だ。
当たれば怪我では済まないかもしれない。
これらの結果は、日本のエネルギー政策が近視眼的に過ぎるからだと思う。
原発については、安全だと国民を騙してまで進め、結果的に事故を起こした。
使用済み核燃料の保管場所すら決まっていない。
再生可能エネルギーについても、高い買取価格に釣られてあまり善良ではない業者さんの参入や施工を許してしまった。
設置場所や施工法等きちんと基準を定めた上であれば、これほど簡単に太陽光パネルが吹き飛んだり流されたりはしなかっただろう。
そのように有意義に使われるのであれば、多少高い電気料金負担も許容しよう。
だが、多く負担したものが風に飛ばされてしまったのでは目も当てられないではないか。
ではどうするのか。
使えるものは使いつつ、少しずつ確実に再生可能エネルギーに舵を切っていくのが良いと考える。
稼働できる原発は稼働し、徐々に再生可能エネルギーを増やしていくことだ。
高効率な太陽光パネルや風力発電等を合わせて使い、夜間にも発電できるようにする。
合わせて蓄電池も開発し、受電と蓄電の緩衝装置とする。
もちろん簡単にはいかないだろう。
だが、資源の無い日本はそうせざるを得ないだろう(原発のウラン燃料だって結局は輸入品だ)。
同じようなことを自民党のエネルギー政策では語ってはいるが、恐らくそれはやらないだろう。
原発を動かせるとなれば、結局はまた原発大国に逆戻りしていくのは目に見えている。
原発が儲かるとなれば原発に、再生可能エネルギーが儲かるから再生可能エネルギーにと、砂糖に群がるアリが如くの対応では、何もならないどころか結局資源の無駄だ。
切羽詰まるまで何もせず、急激に舵を切る。
まさに茹でガエル気質と言わずして何と言おうか。
●冬の電力不足をどう乗り切るか
自身で損傷した苫東厚真発電所の稼働には時間がかかるようだ。
そうなると冬の電力不足が懸念される。
今建設中の石狩湾新港発電所の稼働は来年2月と見られているから、それでは間に合わない。
とりあえずの対処として、リスクを承知の上で泊原発を動かすというのは有りだと思う。
ただ、現状泊原発は安全審査が終わっていない状態であり、その状態で稼働し、事故を起こすか起こさないか、運転中に地震などの災害が起きるか否かは神のみぞ知ることは肝に銘じておく必要があるだろう。
今死ぬか、一ヶ月後に死ぬか(これは未確定)、そういう選択を迫られたら、差し迫った課題を解決する方を私も選ぶだろう。
北海道の方々がそれを望むなら、門外漢の私が文句を言える立場ではない。
ただし、今から稼働しようと思っても冬には間に合わないかもしれない。
今回のブラックアウトは、以前から懸念されていたという。
一時的には回避もできたようだが、結果的にブラックアウトに至ってしまった。
現実は想定通りにはいかないものだと改めて思った。
今年の冬は間に合いません。
運です。
運よくブラックアウトが起きなければ、死なずに済む人が大勢いるでしょう。
ブラックアウトが起こった場合、道民には3つの死の危険があります。
凍死、交通事故死、一酸化炭素中毒死の3つです。
凍死はいわずもがなですが、3つの中では一番少ないだろうと予測しています。
2番目の交通事故死ですが、今回は停電中も天気に恵まれ、視界が良好だったことで事故は少なかったように思います。
しかし、冬の北海道、吹雪となれば視界は失われ、急ブレーキをかければスリップし、複数の車を巻き込んで多重事故となります。
病院は対応に追われ、ろくに治療も受けられないまま院内で亡くなっていく方も出てくるでしょう。
3番目の中毒死は、今回のブラックアウトでも起こりました。
冬場はもっと起こりやすくなります。
今回のブラックアウトでは、亡くなった方は少なかった。
ですが、それでもなお電力の安定供給の重要性を理解されないなら、それはもう道民に「もっと死ね」と言っているようなものだと思います。
本当に今回の地震が厳冬期でなくて良かったと思います。
今年の冬ですが、原発も石狩の発電所も間に合いそうにありませんので、既存の発電所での綱渡りとなってしまうのでしょうか・・・。
原発を動かすなんてけしからん、薪ストーブを使えなんて乱暴な意見もありましたが、備えている家庭がどのくらいあるのでしょうか?
よくもまあそんな適当なことが言えると憤りを覚えました。
言葉は悪いですが、それは「死ね」と言っている事と同義であると認識すべきだと思います。
政治や世論が妨げになっているのであれば速やかに変えるべきでしょう。
個人的に、安全だと吹聴して推進してきた原発を肯定はしていません。
事故を起こせば大変なことになるのは福島第一原発で学びましたし、それは電力の安定供給とは対局にあるものだと思います。
ですが、それはまだ余裕のあることです。
今年の冬をどうするか早急に対処しないと大変なことになるのは、火を見るより明らかです。